金魚


本棚の隙間に金魚を飼っている

細い異次元に折りたたんで差し込まれた模造紙の中

古い朱墨から生まれた金魚

あいつが泳いでいないとき

ぼくは御飯を食べている

あいつが泳いでいないとき

ぼくは歯を磨いている

あいつが泳いでいるときは

ぼくは空を飛んでいる

あいつが泳いでいるときは

ぼくはあのコと喋ってる

きのうも

きょうも

動かないから

きっともうすぐなんだろう

あしたはパンの耳にしようかな

ぼくは

本棚の隙間に金魚を飼っている

青と檸檬

入透のブログ型詩集です。

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