Singularity

鉄の子宮に背中をぶつけたら
喉の奥から螺子が飛び出した
皮膚を貼り付けたタブレット端末が
臍の緒に陰部を挿されて嬌声をあげる
ブロック状のバースデーケーキ
針金のらせん
電子の肉声
完璧な不完全
誕生日はそんなようなもので出来ていた
どうしても柔らかさが欲しくて
バターナイフを指に押し当てる
セラミックの傷口から#FF0000
血のいろはどこだ、と古代文字が叫ぶ
意思を持つグレイ・グーはまぐわってしまった
カプセル型の約束の地は
エゴと
無機質と
永遠を
継ぎ接ぎして天使を産んだ
その老いた瞳が見上げた先で
立体映像の青空に移植された誰かが

ふと呟く

「やあ、700万年ぶり」

懐かしげに顎を撫でる手は



銀色をしていた



青と檸檬

入透のブログ型詩集です。

0コメント

  • 1000 / 1000