桜は

それでも桜は咲きます
それでも桜は咲きます


閉め切られたカーテンのうしろ
白く溢れる朝のすきまに
冬に申し訳なく思うことなく
あの小さな鳥に会うために

色違いの風に紛れて
足音の絶えた雑踏に
目をあわせてもらえなくとも
太陽を見てほほえむために

うろうろする猫の尻尾
柔らかな夜のかたすみに
明滅する蛍光灯に怯えることなく
昨日おぼえた歌を歌うために


それでも桜は咲きます
それでも桜は咲きます


ただ、桜のために


青と檸檬

入透のブログ型詩集です。

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