そらなき

スナックの色褪せた看板の下

宇宙人と寂しがりの神様が

膝を抱えて隣り合う路地で


少女は歌を待っている


雷鳴を孕んだ風が運ぶ

知らない街の懐かしいにおいのような

初めて読むおとぎ話の

挿絵がだれかに似ているような

テーブルの上で寝たふりをする

昼下がりのオムライスのような

そんなような声で歌う

なんでもないような歌を

ありふれた愛の歌を


二度と、流れない歌を


まだ



青と檸檬

入透のブログ型詩集です。

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