Iたち
あれはまだ
背中に羽があった頃
ここから遠く離れた透明な宇宙で
一つのかたまりだった頃
突如として
私を
私達に隔てたのは
36.5℃の薄膜
振り落とされた先の重力圏の
連弾する過去と未来の小休止で
一人称の海の中
手繰るのは
"あなた"の3文字
手を伸ばさなければ触れ合えず
声を上げなければ伝わらない
その距離が
その境界が
そのもどかしさが
その尊さが
私が
私達に
わかたれた理由なのだとしたら
温かなゆびさきを心待つ
どこまでも自由な不自由さに
"愛"などと名前をつけようとする
その不用意な唇は
不意打ちのキスでふさいでおこう
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