詩集を置いて

詩集を置いて

窓の外

天道虫が

ちろちろ歩く


こどもの頃の

薄っぺらの

ぼうけんのしょ

ひと字

よんでは

食べて

ひと字

よんでは

寝て


路地裏のまっくらと

海で見た宇宙人と

木になった爺さんと

しゃべる犬


世界はまだ空の下にあって

掌の中になど収まっていなかった

あの泥まみれの運動靴の

足音が

それこそが


詩集を置いて

窓の外

天道虫が

ちろちろ歩く






飛ぶ

青と檸檬

入透のブログ型詩集です。

0コメント

  • 1000 / 1000