クリスマス


それはすべらかな手ざわりで、掌の中におっこちました


点滅する赤い心臓は

夜の彩度をすこし、上げます

雪はオルゴールと同じ温度をしていて

耳鳴りに歌を混ぜます

羽の生えた人がネオンの看板に腰掛けて

ちいさな子に歯磨きをうながします

ちいさな子だったおおきい人たちは

いつまでも、いつまでも、いつまでも、積み木を


「涙を交換してよ」

「金貨とじゃなくてさ」

「そこのちっちゃな木の橇とさ」


うつくしい絵本の挿絵に

人びとはだれかの横顔を

探して


それはすべらかな手ざわりで、指の間を通りすぎました


青と檸檬

入透のブログ型詩集です。

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