あなた
ねえあなた
ゆっくり、いそいで来てね
うまれたばかりの地球が母を恋しがるように
年老いたわたしの明け方のなみだのように
からだだけはいそいで
こころだけはゆっくりと
車に轢かれたかまきりみたいに
からだは死んでしまうから
おおあわてのかみさまみたいに
こころはだいじなものを通りすぎてしまうから
にぎりこぶしひとつぶんの
たいせつなものだけ心臓につめて
その両足ではしってきてね
そうしていつか、握りあったてのひらに
こころがようやく追いついたら
みつけるのに時間がかかるあなたと
おもいだすのに時間がかかるわたしと
おたがいさまね
と、わらいあって
もういちど眠りにつきましょう
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